手術療法
脊柱管狭窄症の治療方法の一つに、手術という選択肢があります。
手術による脊柱管狭窄症の治療方法
ただ、脊柱管狭窄症と診断されても、すぐに手術ということはありません。
必ず、最初に保存療法を行います。数ヶ月保存療法を続けても、全く効果が出ないという場合には、手術になる可能性が高くなります。
特に、脊柱管狭窄症が馬尾型や混合型の場合、症状が重症の場合には、手術を薦められるでしょう。手術の場合、以下の3つの方法が一般的です。
- 開窓術
圧迫されている椎弓を部分的に切り取って、圧迫を取り除く方法です。削る骨を最小限にできる点が特徴です。
比較的、軽度で済む場合に用いられます。
- 椎弓切除術
開窓術と同じように、椎弓を切り取る方法ですが、広範囲に及んで切除する方法です。骨もたくさん削る必要が。
馬尾型で圧迫されている部分が大きい場合、この方法が用いられます。
- 脊椎固定術
上記どちらかの除圧方法を取った後、脊椎が動かないように、固定する方法です。
すべり症を併発している場合では、除圧をしても、また脊椎が滑って再発してしまうため、すべりを防ぐために、脊椎を固定します。
固定用の金属器具を使うのが一般的ですが、自分の骨を移植することもあります。
脊柱管狭窄症の度合いや手術方法にもよりますが、一般的には、手術翌日か2日後には歩行が可能で、1週間後ぐらいからシャワーも浴びられるようになり、デスクワークであれば、2週間程度で復帰できるでしょう。
ただ、回復には個人差もあるので、焦らないことが肝心です。自分の体と相談しながら、徐々に生活を戻していきましょう。
手術にかかる費用は、手術方法にもよりますが、大体6万円~20万円程度です。
ここで重要なのは、手術をする、しないに関わらず、おかしいなと思ったら、できるだけ早めに病院に行くことが重要です。
馬尾型の場合でも、早期に発見できれば、手術をせず、保存療法のみで改善する可能性も高くなります。
手術療法はこんな方にオススメ
腰部脊柱管狭窄症の治療で手術がオススメなのは次のような方です。
- 薬物療法などの保存療法で効果が見られない方
- 排尿、排便障害が出ている方
- 筋力低下が著しい方
- 根治を目指したい方
薬物療法などの保存療法で効果が見られない方
腰部脊柱管狭窄症の治療方法の中でも、薬物療法や理学療法は一時的な対症療法にすぎません。こうした治療を続けてみたけれど、なかなか改善が見られない。痛みで体を動かせないために日常生活に支障がある方は手術で根治を目指した方がいいことも多いもの。 順番としては、他の治療方法を試してみて、それでもダメだった場合に手術という選択肢があると考えておくといいでしょう。
排尿、排便障害がある方
腰部脊柱管狭窄症による痛みで排便や排尿がしにくくなってしまったり、尿漏れしたりするようになってしまえば、生活の質(QOL=クオリティ・オブ・ライフ)が低下してしまいます。このままいけば介護サポートの必要が出てきてしまう…という方は、手術療法がオススメです。 特に、障害がみられる場合には、早めに手術をしないと神経へのダメージが深刻になってしまい。手術後も回復が見込めなくなる可能性があります。
筋力低下が著しい方
腰部脊柱管狭窄症による痛みで、外出ができなくない・歩くことが困難というような状況になれば当然筋力は低下してしまいます。高齢の方の場合、筋力低下は寝たきりにつながることも。 筋力低下を防ぐためには根治治療のための手術がオススメです。
根治を目指したい方
腰部脊柱管狭窄症の手術以外の治療は、ほとんどが痛みの緩和だけで根本的な原因を取り除く治療法ではありません。もちろん、手術以外の治療を長期的に受ければ症状が改善したというケースも2〜3割程度ありますが、将来のことを考えて根治したいという方には手術という方法もオススメと言えるでしょう。
開窓術(かいそうじゅつ)
開窓術は拡大開窓術とも呼ばれており、圧迫されている神経を開放することによって痛みを改善させる、という治療法です。脊柱管狭窄症の治療を手術で行うとき、まずはこの手術を適用とすることがほとんどで、一般的に多く用いられる方法です。
実際に治療では半数近くに用いられており、 拡大開窓術はいま最も普及している安全で確実な手術法で、狭窄の強い患者さんがそれほど多くない一般の病院であれば、腰部脊柱管狭窄症の手術のうち6割以上に行われていると思われます。
出典:名医が語る最新・最良の治療 腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア 平成25年2月26日初版発行
http://www.qlife.jp/pain/study/dictionary/stenosis/st-fenestration/story2233.html
となっています。手術での治療なのでそれほど軽度とは言えませんが、手術を行わなくてはいけない脊柱管狭窄症の中でも比較的軽度の症状に適用されます。
手順としては、まず背中から皮膚を切開します。そして必要最小限である椎弓の一部だけを切除という手術です。
改善率50%以上の手術有効例は59%であり,平均改善率は57%であった.
出典:『腰部脊柱管狭窄症に対する拡大開窓術の成績-脊椎不安定性の手術成績 に及ぼす影響』鹿児島大学整形外科 米 和徳・酒匂 崇・簗瀬 光宏・岡野 智裕/南風病院整形外科 川内 義久
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai1951/43/4/43_4_1356/_pdf
とあるように、手術を受けて半数近い人数が改善したと感じられる治療法です。神経の圧迫に関係する部分だけ、窓を開けるようにして治療するのが特徴にもなっています。そのため体にかかる負担も最小限に抑えることができるでしょう。
椎弓(ついきゅう)切除術
椎弓(ついきゅう)切除術は、背中側に突き出ている棘突起を縦に割る手術です。以前は背骨の周囲にある筋肉をはがしていたのですが、それでは筋肉が損傷してしまい、その痛みが術後も襲ってつらいといったデメリットがありました。棘突起を縦に割ることで痛みが出にくく早く回復できるとされています。
骨が割れてしまうのが怖い…と感じるかもしれませんが、後でくっつける、ということになります。
しっかりくっつくのに数カ月かかりますが、筋肉をはがすよりも患者さんに対する負担は少ないと考えられました。筋肉がついている骨は血流が行き渡るので、くっつきやすいという利点もあります。
出典:名医が語る最新・最良の治療 腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニア 平成25年2月26日初版発行
http://www.qlife.jp/pain/study/dictionary/stenosis/st-laminectomy/story2365.html
とのことで、すぐに治るというわけにはいきませんが、負担が少なくなった分術後が過ごしやすくなるでしょう。もちろん早くくっつくように患者自身も努力しながら治療を受ける必要があります。
脊柱固定術
脊柱固定術は神経の痛みを取り除いてあげるだけでなく、不安定になっている脊椎を安定させることが目的の手術です。
ただし、椎骨には手術で骨を移植するので、最後は自分の骨でしっかりと固定されることを目指します。脊柱固定術は前方椎体固定もしくは後方・後側方固定で行われ、どちらも椎体や椎間板、椎弓を切除したうえで骨を移植して最後に器具で固定する…という流れになります。
ただし、骨移植は外的要因(喫煙や骨粗しょう症、激しい運動)などによって時間がかかってしまったり、中には骨がしっかりと固定されなくなったりという心配もあります。手術を受けたら終わり、というわけではなく、その後骨が固定されるまでしっかりと治療を受けましょう。
主に分離症やすべり症という、不安定な状態が続いてしまう可能性がある場合に行われる手術です。とても大掛かりな手術のように感じますが、かなり傷が小さく目立ちにくい手術を行っている病院もあります。
血流改善で痛みとしびれの緩和をサポート!
脊柱管狭窄症の痛みやしびれの原因は、一般の腰痛と同様に血流障害であり、クロレラ、エゾウコギ、スピルリナなどの健康成分が血流の改善をサポートすることで、「症状の緩和」だけでなく、「症状の改善」が見込めるとされています。
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